2019年03月30日

赤い椿

藩に不祥事があり、家老が腹を切った。
本来は藩のトップである大名の責任だが、幕末には家老が代理で責任を引き受けたのだろう。

家老は大名の分家であったり、大名と一緒に戦国期を乗り切った重臣の末裔である。
世が安定した江戸期後半には仕事はなく、唯一の仕事が大名の身代わりになることだったと思われる。
この寺にも大名の身代わりで腹を切った家老の墓がある。

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彼らは小さい頃から自分の立場を教えられて育ってきたから、それほど混乱もなく腹を切っただろう。
墓石には「死を賜った」と記してある。

父である家老から、
 お前がすることは何もない。
 城に行って座っているだけで、みなが尊敬し、大切に扱ってくれるだろう。
 お前が唯一することは、藩に不祥事があれば腹を切ることだ。
 そうすれば、お前の子がお前の跡を継いで家老になるだろう。
などと言われて育ったはずだ。

野蛮といえば野蛮である。
しかし、自死は究極の責任の取り方であり、納まりやすいといえば納まりやすい。
日本人の感性にも合っている。

そんなことを思いながら、墓の近くにある血のように赤い椿を見ていた。

posted by なすび at 13:33| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする